Linux や FreeBSD の X Window System 上で日本語を表示するには、日本語用のフォントが必要です。そのため、今までは有志が地道に作成してきた日本語ビットマップフォントや、それもとにアウトライン化したフォントなどが、標準のフォントとして添付され利用されてきました。有料のディストリビューションでは、有料のアウトラインフォントを購入し、ディストリビューション標準のフォントとして提供したりしていました。もちろん、無償のディストリビューションでも、お金を出して TrueType フォントを買ってくればそれを使用することもできましたが、そこまでやる人はそんなにいませんでした。そのようなことから、Linux や FreeBSD では、ある種の大きさ以外の文字ではあまりきれいな文字を見ることができませんでした。
IPA では、以前から IPA フォントと言うフォントを開発しており、一時期は JIS X 0221 (Unicode) のフォントを一般公開しようとしたこともありました (結局立ち消え)。それからしばらくたった後、国際化 (日本語化) GRASS というアプリケーションと同梱で JIS X 0208:1997 対応の IPA フォントが公開されました。これらは、ゴシック体、ゴシック体プロポーショナル、ゴシック体 UI、明朝体、明朝体プロポーショナルからなっており、普通に使用する上では、必要十分なフォント数でした。しかしながら、フォント単独での配布は認められず、このアプリケーションと同時配布しか許されていませんでした。
今回、発表されたフォントは、以前配布されていたその IPA フォントの JIS X 0213:2004 対応版で、以前のと同様に、ゴシック体、ゴシック体プロポーショナル、ゴシック体 UI、明朝体、明朝体プロポーショナルからなっています。ダウンロードは、ここからすることができます。以前のバージョンも同じページからダウンロードすることができます。
TrueType では、小さな文字を表示するときにはアウトラインフォントではなく、TrueType フォントファイル内にあるビットマップフォントを使用することができます。 今回 IPA から提供されたフォントでも、小さな文字用のビットマップが入ってはいますが、9 と 12 の大きさの二種類しか入っていないようです。そのため、それ以外の大きさの小さな文字を使用しようとすると、少し汚くなるようです。